品質管理と品質改善 ~品質不具合「0」を目指して

品質不具合が多すぎるとお悩みの企業様に!

大阪・兵庫が地盤で、品質管理・生産性向上等の 「工場経営改善」 を得意とするコンサルタント、 薄木栄治 です。

私は、プロフィールに示す通り、多くの部署を経験した後に、品質管理の分野に携わり、中でも品質不具合の削減には特別の思いを持って取り組みました。 品質管理の目的は、製品・サービスなどの不具合を「0」にすることですが、これを達成するために、最後にたどり着いた結論は、

① 経営者をはじめ全従業員が品質不具合を絶対にゼロにするという強い品質意識を持ち

② 過去に生じた品質不具合の真の原因を究明し、その適切な対策を考え

③ 真の原因の対策を組織的なプロジェクトで解決する

ということです。

つまり、全従業員特に経営トップが強い品質意識を持つことが第一で、過去に生じた品質不具合の真の原因を究明し、対策を考え、それを組織的に実行すれば、品質不具合は大幅に減少させることができるということです。

強い品質意識を持つことには異存はないと思いますが、過去に生じた品質不具合の原因・対策だけで良いのかというご意見もあると思います。 しかし、品質不具合の根本の原因はそんなに多くはなく、ほとんど同じ原因による繰り返しであり、究極的には「ルール」「技術」「エラー」の3要素(真の原因)に集約されます。 逆に言うとこの3つの要素に対して、それぞれ適切な対策を考え実行すれば、将来も含め全ての品質不具合に対応できるということです。 そして、適切な対策を考えても実行面でうまくいかない企業様も多くあり、ここは組織としての総合力を発揮する必要があります。

このように上記の①~③の考えをセットとした品質改善手法をこれから記載していきますので、「品質不具合が多すぎて本来業務に支障が出ている」「品質不具合が全く減らない」とお悩みの企業様は、是非とも参考にして頂きたいと思います。

品質不具合根本原因の3要素

品質第一の考え方!

モノづくりをはじめ全ての事業活動における重要な視点として、「QCD」があると言われています。

Quality :品質
Cost  :コスト
Delivery:納期        の3つの視点です。

この3つの視点の中でQ(品質)が最初にきているのは、やはりC(コスト)や、D(納期)よりも品質が最も重要であると考えられているからです。 しかし、多くの企業様は、「品質第一」と品質の重要性を充分に理解しているにも関わらず、実際には、コストや納期を優先してしまうように思われます。

これには、大きく2つの要因があります。

ひとつは、コストや納期は、生産工程で目に見える形で現れますが、品質は後になって見えてくるもので、不具合の発生時に、見過ごしても問題にならないということがあげられます。

もうひとつは、コスト削減や納期確保は会社内で大きく評価されますが、品質の安定は、当たり前であり、大きな貢献をしたとしても評価されず、これに取り組む従業員のモチベーションが上がらないという宿命があることがあげられます。

このように、品質が重要であることを認識しながらも、本当に品質をコストや納期に優先させることは非常に難しく、これらの意識改革が、まず取り組むべき最初の課題となります。

品質第一が重要

品質不具合が与える経営へ影響

さて、「品質第一」と品質の重要性を充分理解しているにも関わらず、ついつい、コストや納期を重視してしまうのはなぜでしょう? これは、品質不具合がどのくらい経営に影響するかを数値として把握していないからではないでしょうか? そこで、最初の試みとして、品質不具合によりどのくらいの損失を出しているかを計算してみるといかがでしょうか?

品質不具合による損失の項目は、

①お客様で不良品が発生した場合

取換費用または手直し費用
お客様のクレーム対応費用(代品手配、謝罪等)
お客様で発生した機会損失費用
お客様からの信頼を失うことによる売上げの減少

②不良として廃棄する場合

その代品の製作費用及び納期遅れ
代品の特急製作による全体生産工程の乱れによるロス
生産工程の乱れによる生産の機会損失
不良の発生を見越した在庫の増

③手直しを実施する場合

手直し費用
手直しという非定常作業による2次不具合の発生

④その他

従業員が後ろ向きの業務を行うことによるモチベーション低下
従業員の不具合対応により、本来のチェック作業の抜けによる新たな不具合の発生
本来業務ができないことによる生産・販売の機会損失
原因・対策会議、品質改善活動などで生じる費用

などがあげられ、それぞれの損失の費用を算出してみると思った以上に大きな金額であることが解ります。 金額であらわすことのできる損失のみでなく、生産・販売の機会損失や従業員のモチベーション低下など簡単に金額に表せない損失もあり、知らず知らずの間に企業体力を失い、品質不具合による負のスパイラルが生じていることも見逃せません。 逆に、品質不具合を克服すれば正のスパイラルが生まれ、新しい世界が見えてくるでしょう。

 

品質改善はまず品質意識の向上から

品質不具合が、いかに損失を与えるかを解って頂いたでしょうか? そう、品質不具合を減らすための第一歩は、品質不具合は目に見えない損失も含め非常に大きく、経営の足枷になっていることを認識することから始まります。 経営者自らが「品質第一」を本気で思い、それを実行することです。

品質不具合を減らすのに特効薬はありません。 ひとりひとりの従業員の品質意識を向上させ、一つひとつ課題を地道に解決していく労力が必要であり、近道はありません。 同じ労力をかけるなら、その労力に見合う成果を上げたいと思いませんか?

このシリーズでは、私の経験に基づき品質不具合を減少させるコツのようなものを書いていきたいと考えています。 今後もお付き合いください。

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